久保田晃弘の思索と実装
本書は、メディアアートの実践者として、 また教育者として、最先端を走り抜けてきた久保田晃弘が、脱中心(=固着した人間中心主義から脱却すること、すなわち人間、ひいては社会が変わることを前提とした経験的想像力を超えたものづくり)を志向しながら、工学から芸術へ、「設計」から「デザイン」へと展開した、20年にわたる思索と実装を辿るデザイン論集です。
いま、何をつくったらいいのか?
見たことのないものを、なぜ人はつくれるのか?
真に新しいものをつくりだすということは、どういうことなのか?
人工知能が超知能になるポスト・ヒューマンの世界を見据え、デザイナーは足元に穴を掘り続けるのではなく、遠くへ行くための道をつくらなければなりません。「科学技術が社会に普及浸透していくためには、文化的、芸術的なアプローチが必要不可欠である」という視点から出発し、「一体何が、これからのデザインや芸術になり得るのか?」を常に探求してきた久保田の予見に満ちた言説は、テクノロジーとともに更新されゆく私たち人間、そして社会の未来を鮮やかに照らし出します。
※本書は、久保田晃弘による1997年〜2017年のテクストを選出し、書き下ろしを加えて再構成したものです。過去のテクストは全文収録または抄録であり、加筆修正を施しました。(ビー・エヌ・エヌ新社 編/松井茂 解題)
ISBN:978-4-8025-1050-9
定価:本体2,600円+税
仕様:四六判/448ページ
発売日:2017年02月21日
著者:久保田晃弘
デザイン:中西要介
目次
はじめに
第1章 芸術から身体へ 第2章 素材から即興へ イントロダクション 第3章 コードから知覚へ イントロダクション 第4章 細胞から宇宙へ イントロダクション 第5章 人間からの離脱 パーソナルメディアとしての衛星 おわりに |
遙かなる他者のためのデザイン
久保田晃弘の思索と実装
発売日:2017年02月21日
著者:久保田晃弘
デザイン:中西要介
久保田 晃弘(くぼた あきひろ)
1960年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授/メディアセンター所長。東京大学大学院工学系研究科船舶工学専攻博士課程修了、工学博士。数値流体力学、人工物工学(設計科学)に関する研究を経て、1998年から現職。世界初の芸術衛星と深宇宙彫刻の打ち上げに成功した衛星芸術プロジェクト(ARTSAT.JP)をはじめ、バイオメディアアート(BIOART.JP)、自然知能と知能の美学、ライブコーディングと自作楽器によるライブ・パフォーマンスなど、さまざまな領域を横断・結合するハイブリッドな創作の世界を開拓中。芸術衛星1号機の「ARTSAT1:INVADER」でARS ELECTRONICA 2015 HYBRID ART部門優秀賞をチーム受賞。「ARTSATプロジェクト」の成果で、第66回芸術選奨文部科学大臣賞(メディア芸術部門)を受賞。
主な著書に『消えゆくコンピュータ』(岩波書店/1999年)、『ポスト・テクノ(ロジー)ミュージック─拡散する「音楽」、解体する「人間」』(大村書店/監修/2001年)、『FORM+CODE―デザイン/アート/建築における、かたちとコード』(小社刊/監訳/2011年)、『ビジュアル・コンプレキシティ―情報パターンのマッピング』(小社刊/監訳/2012年)、『Handmade Electronic Music―手作り電子回路から生まれる音と音楽』(オライリー・ジャパン/監訳/2013年)、『[普及版]ジェネラティブ・アート―Processingによる実践ガイド』(小社刊/監訳/2014年)、『スペキュラティヴ・デザイン―未来を思索するためにデザインができること』(小社刊/監修/2015年)、『バイオアート―バイオテクノロジーは未来を救うのか』(小社刊/監修/2016年)、『未来を築くデザインの思想―ポスト人間中心デザインへ向けて読むべき24のテキスト』(小社刊/監訳/2016年)などがある。