ビー・エヌ・エヌ新社では、2020年7月に『カーム・テクノロジー – 生活に溶け込む情報技術のデザイン』を刊行いたしました。この度の刊行を出発点としまして、オンライントークイベントを開催していきます。イベントでは、2020年以降におけるCalm Technologyの再解釈と実践について、著者や、瞑想の認知神経科学の専門家などと共に、多角的なアプローチで議論していきます。
「テクノロジーが人々の自然な振る舞いや仕草の一部として浸透するまでに存在を意識しないテクノロジーのデザインとは?」を様々な分野の第一人者と多様な視点で話し合うトークセッションをシリーズで展開する第一弾。
1995年、ユビキタス・コンピューティングの父、マーク・ワイザーは、電気のスイッチのように生活に溶け込み、人が無意識的に活用できるテクノロジー(あるいはそれらが存在する環境)を、「カーム・テクノロジー(Calm Technology)」として提唱しました。
この概念は時代を超え、2015年にアンバー・ケースによって書籍化され、2020年、さらに国を超え、初の翻訳版としてmui Labの寄稿・監修により、日本語にて弊社より出版致しました。
本書では、デバイスの数が人間の数をはるかに上回り、アテンション・エコノミーによって人間の注意が常に奪われる現在において、この「カーム・テクノロジー」という思想を基に、新たな設計指針を提唱しています。
今回、この出版を契機に、「カーム・テクノロジー(Calm Technology)」の可能性を、幅広い領域から考えるためのトークセッションをスタートします。
第一弾は、認知神経科学の観点から。
京都大学オープンイノベーション機構特定助教で、瞑想の認知神経科学研究を行う藤野正寛氏をお呼びして談義します。
「カームテクノロジーとマインドフルネスとの関係性 〜注意のメカニズムと情報技術のデザイン〜」と題して、
自然に生じてくる感覚や感情にありのままに気づくことの心理・神経メカニズム
を解明しながら、情報過多な社会で穏やかに暮らすことに寄り添うテクノロジーの佇まいについて語り合います。
【詳細】
「カームテクノロジーとマインドフルネスとの関係性 〜注意のメカニズムと情報技術のデザイン〜」
【登壇者プロフィール】
・藤野正寛(ふじの・まさひろ)
京都大学オープンイノベーション機構特定助教 神戸大学経営学部卒業後に、医療機器メーカーに7年間勤務し、経営企画管理業務に従事。海外駐在員時代に、10日間のヴィパッサナー瞑想リトリートに参加し、瞑想が身心を健康にすることを体験的に理解し、「働いている場合ではない」と退社。京都大学教育学部に編入学し、大学院を経て現在に至る。現在は、瞑想の実践者かつ研究者として、瞑想実践を通じてでてきた問いをもとに、認知心理学的手法やMRIなどの実験装置を用いて、瞑想の脳研究を進めている。特に、智慧を育むマインドフルネス瞑想と慈悲を育むコンパッション瞑想のメカニズムの解明に取り組むとともに、人々の身心の健康のために、それらを社会に導入する活動に取り組んでいる。Masahiro Fujino HP